ヒュームフードの省エネ化なくして
ラボの「CO2削減」は実現困難!?
ヒュームフードの省エネ化なくしてラボの「CO2削減」は実現困難!?
ラボ全体の50%をも占めるといわれるヒュームフードのエネルギー消費量を抑えるためには
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表しました。この目標を達成するための施策として、2021年5月には地球温暖化対策推進法が改正され、企業の温室効果ガス排出量の「見える化」と「CO2削減」への取り組みがますます求められるようになっています。また、「世界を変えるための17の目標 SDGs (Sustainable Development Goals)」を達成するためにも、CO2削減は必要不可欠です。
ラボにおいても、CO2削減は避けては通れない課題です。なかでも、ヒュームフード(ドラフトチャンバー)に関わるエネルギー消費は膨大で、全体の50%をも占めると言われています。ヒュームフードは冷暖房の効いた空気を屋外に排気するため、それを補うためさらに室内への給気と温度調整が必要となり、大量のエネルギーを消費してしまうのです。せっかく温度調整した空気を捨て続けるのは、エネルギーの「ムダ使い」と言えるでしょう。
本コラムでは、CO2削減ソリューションのひとつとして、空調ロス"ゼロ"のダクトレスヒュームフードをご紹介します。
一般的なヒュームフードのCO2排出量
1台で一般家庭の2倍のエネルギーを消費!?
ヒュームフードは1台あたりどれぐらいのエネルギーを消費するのでしょうか? 以下の条件で試算を行いました。
- 一般的なヒュームフード(幅1800mm、排気風量22m3/min)を1日8時間×240日運転
- 屋上に設置した排気ファン(出力0.75kW)で排気
- 外調機で冷暖房の効いた空気を排気した量と同じ分だけ給気
- 電気代は27円/kWhとして算出
(全国家庭電気製品公正取引協議会「新電気料金目安単価」より) - CO2排出量は東京電力エナジーパートナー(株) の事業者全体参考値であるCO2排出係数0.441kg-CO2/kWhをもとに算出
(環境省「令和3年提出用電気事業者別排出係数一覧」より)
結果は、年間消費電力は約8,800kWhとなりました。これは電気代にすると約239,000円、CO2排出量に換算すると約4,000kgに相当します。
CO2排出量約4,000kgと言われてもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは一例として、一般家庭が1年間に消費したエネルギー量と比較してみます。環境省の調査によると2017年度に1世帯が1年間に消費した電力は、全国平均で4,322kWhとのことです。これをCO2排出量に換算すると約2,000kgに相当します。つまり、1台のヒュームフードに対して必要なエネルギーは、1世帯の約2倍に相当します。
※本試算は参考値です。実際のエネルギー消費量は様々な要因によって異なります。
安全性と省エネルギーの両立
ダクトの「あり/なし」を使い分ける
省エネ性に非常に優れるダクトレスヒュームフードですが、万能ではありません。作業内容や使用薬品によってはフィルターでの除去が難しく、ダクトレスヒュームフードでは安全性が確保できない場合があります。そのような作業を行う場合は屋外排気方式のヒュームフード、決まった薬品を比較的少量扱う場面ではダクトレスヒュームフードと使い分けることで安全性と省エネルギーを両立することができます。実際に使い分けが必要となる場面では、使用薬品や作業内容を専用の調査表に記入していただき、それをもとに最適な機種をご提案いたします。調査表のご依頼はこちらよりお願いいたします。
屋外排気方式でもできる省エネ対策
低風量型やVAV型ヒュームフードでCO2排出量を削減
封じ込め技術・制御技術の進歩で、かつては⼤量の室内空気を屋外排気していたヒュームフードも空調負荷を抑えることが可能になりました。屋外排気方式のヒュームフードが必要となる場合でも、必要排気風量の少ない低風量型やサッシ開度によって風量を変動させるVAV(排気量可変)型を選定することで、CO2排出量の削減につながります。


